蕎麦殻枕


先月末、久しぶりに実家へ戻り、昔から使っていた蕎麦殻枕で寝てみました。
蕎麦殻枕は通気性が良く、特に夏は熱がこもりにくいため愛用されている方も多いと思います。しかし私の場合は、どうも首まわりが疲れてしまいました。
吐き気がするほどではありませんが、乗り物酔いのときのような何とも言えない疲労感が続きました。
自宅にあった蕎麦殻枕は高さがあり、ぎっしりと中身が詰まっていたため、首が前へ押し出されるような状態になっていたのかもしれません。
綿の枕に替えて2日ほどすると、首まわりの違和感は自然に消えていきました。
枕の高さだけでは分からない

蕎麦殻枕と綿の枕を並べると、見た目の高さは綿の枕のほうが高く見えます。
ところが、中央を拳で押して頭の重さを再現してみると、綿の枕は大きく沈み込みます。頭の丸みに合わせて形が変わり、自然にフィットするのです。
一方で蕎麦殻枕は形が変わりにくく、首や頭を下から支える力が強くなります。
枕は単純な高さだけでなく、「どのくらい形が変わるか」も大切なのだと改めて感じました。
母のために作った蕎麦殻と綿のミックス枕

母も長年蕎麦殻枕を使っていました。
肩が前に出やすい姿勢だったため、肩の運動に加えて枕も見直してみてはどうかと提案しました。
ところが母は、
「蕎麦殻枕が好きで、それじゃないと寝られない」
とのこと。
そこで、綿―蕎麦殻―綿の三層構造の枕を作ってみました。
中央には通気性の良い蕎麦殻を入れ、その上下を綿で包みました。両側も綿にし、首のアーチに合わせて中央より少し厚みを持たせています。
また、横幅も少し短めにしました。横向きで寝たとき、枕が大きすぎると腕を自由に動かしにくくなるためです。
もし合わなければ元の枕に戻すという約束で試してもらったところ、
「すごく寝やすかった」
と気に入ってくれました。

硬くて高い枕が合わないこともある
私たちの背骨には生理的弯曲と呼ばれる自然なカーブがあります。
首は少し前へ、胸は少し後ろへ、腰は再び前へと弯曲しています。
枕が硬すぎたり高すぎたりすると、頭が前方へ押し出され、この自然なカーブが崩れることがあります。
もちろん、体格や年齢、首の形は人それぞれです。
そのため、合う枕の高さや硬さも人によって異なります。
もし朝起きたときに首まわりの疲れが続くようであれば、枕を見直してみる価値はあるかもしれません。
枕の高さが低すぎた例
反対に、枕が低すぎて問題になったケースもありました。
脳卒中後の方で、長年使用していた枕がへたり、仰向けで寝ると首が後ろへ反り返り、顎が上がる姿勢になっていた方がいました。
その方は朝起きても背中や太ももの緊張が強く残っていました。
そこで、顎が上がりすぎない程度に枕の高さを調整していただいたところ、背中や太ももの緊張が軽減したことがあります。
赤ちゃんの向き癖と枕
訪問リハビリでは、いつも右ばかり向く、あるいは左ばかり向くという「向き癖」のある赤ちゃんに出会うことがあります。
向き癖が続くと、頭の形だけでなく体の使い方にも影響することがあります。
改善方法はいくつかありますが、その一つとしてお勧めしていたのが、頭の形に合わせて中央が少しへこむ綿の枕でした。
もちろん運動や抱っこの仕方、声かけの方向なども大切ですが、枕によって改善がみられることも少なくありませんでした。
十人十色の枕
もちろん、蕎麦殻枕が合う方もたくさんいらっしゃると思います。
枕については専門的に研究されている方も多く、正解は一つではありません。
ただ今回、自分自身の体験やこれまでの経験を通して感じたのは、頭の丸みや首のカーブに合わせて柔軟に形を変えられる枕のほうが、体への負担が少ない場合もあるということです。
最近なんとなく首まわりが疲れる、朝起きてもすっきりしない。
そんな方は、一度枕を見直してみるのも良いかもしれません。
※施術の効果には個人差があります。症状によって改善までの期間や回数は異なります。